昨日の話です。 わお!雪!! 空から雪が音もなく静かに降り積もっていました。 お隣の教会の敷地も真っ白。 すご〜く寒いけれど、でも、気持ちはとっても静かで穏やか。 淹れたてのコーヒーを手に窓の外の白い世界を眺めながら、しばらくボンヤリと今学期の出来事を一つ一つ思い返していました。 先日、大学院の最初の1学期が無事に終了しました。 時には暗礁に乗り上げ、 時には沈没しそうになり、 もう、このまま永遠に終わらないのでは?と思えた今学期を、こうして終えることができたなんて嘘みたいです。 今学期の最後の課題は大物2つ。 論文とグループパフォーマンスでした。 論文の課題タイトルは「How is Performance healing ?」(いかにパフォーマンスは(人々にとって)癒しとなっているのか?) それを、今学期のすべての授業や内的な振り返りを含めて15枚程度の論文として述べよというもの。 単なる感想文ではないため、自分の視点を打ち立て、それをサポートする文献も交えつつ、個人的なレビューを加えながら、、という結構タフな課題でした。 でも、、、それを書くことで、自分がたどってきた今学期の旅の過程が浮き彫りになってくるなと感じていたので、内側から湧き上がる言葉をひたすら打ち続けていった12月でした。 グループパフォーマンスは、3人一組のパフォーマンスです。 各グループで取り上げたい戯曲の1シーンを演じ、その中で「役として演じながら、自分の内側の言葉として話す1人5分間のモノローグを観客を前に演じよ。」というもの。 ドラマセラピーのパフォーマンスは一般的な演劇の発表とは違います。どこが違うのか?というと、、、 人に見せることを主眼にしているのではなく、演劇を通じて個人の内側の過程が変化していくことを主目的としている部分です。 私たちの選んだ作品は「A girl fell through a hole in a sweater」(セーターの穴の中に落っこちた女の子)という名前の子供向きに書かれた作品。 不思議の国のアリスと、オズの魔法使いの持つエッセンスを併せ持った、冒険ファンタジーです。 マスク&パペットの授業の時にグループを組んだサブリナとアニーと、そのまま期末の課題も行うことになったのも嬉しいことでした。 「もうちょっとこの3人で突っ込んでやってみたいな。ナオミはどう?」 「うん!ぜひやってみたい!アニーは?」 「形を変えて、やってみようか?」 「子供向けの話がいいな〜って感じるんだけど、どうかな?」 サブリナの提案は、まさにBINGO!!! なぜなら、、、私も「私たち3人の共通のテーマは幼少期&子供という部分だな。」と感じていたからです。 脚本を入手すると、その場で即座に配役と取り上げるシーンも決まり、練習に入りました。 サブリナは主人公のNoil.元気のいい活発な女の子。 アニーは、不思議の国を統治しているプライドの高いLoad PP. 私の役はCrumbsinpocket(ポケットの中のパンくず)という名前の、主人公の旅の道先案内人。 他にパペットを使ってRoach (ごきぶり)も演じることになり、手袋と紐などを調達して作りました。 (なかなか、憎みきれない可愛さをもったゴキちゃんでしょ?) 各自のモノローグは、この課題の中での最大の注目点です。 でも、、、あえて私は一切な〜んにも自分の中に用意しませんでした。 その場で自分が感じたことを、そのままCrumbsinpocketが話しだすだろうと思ったからです。 「戯曲のシーンは戯曲に書かれた通りに演じることが原則です。 しかし、5分間のモノローグは、規定はありません。 自分の思いを役柄を通じて話すこと。表現方法は自由です。 何語で話しても構いません。」 事前に、ロバート&マリア(教授陣)からはそう言われていました。 去年、この課題に取り組んだ大学院2年生の留学生たちも「全員がモノローグは母国語での表現だったよ。ナオミも母国語で話していいんだよ。」と話してくれました。 しかし、本番。 驚いたことに、、、 Crumbsinpocketは、英語で観客に向かってモノローグを語りだしていました。 私は彼に任せて、そのまま役に自分を委ねました。 ロバートとマリアが、こう言っていたのを覚えていたからです。 「役に任せて大丈夫。自分として話すのではなく、どんなことも役に話させなさい。 役が、あなたを捕まえていてくれる。役があなたを守ってくれる。」 。。。細かい部分は覚えていません。 正確な言葉ではないかもしれません。 でも、彼はこんなことを語っていました。 「ねぇ、人間でいるのって、どうだい?幸せ?楽しい? じゃあ、なんでそんな顔をしているんだい? さっき僕は彼女に”僕は巨人のポケットの中で生まれたパンくずだから、すごく大きいって威張ったけど。本当は普通のパンくずさ。 でも立派な大きなパンくずじゃなくって、普通のパンくずで最高だ!って感じているよ。 さなぜそう思うかって? だって、パンくずだからこそポケットの中に入ることができるからね。 だから、君たちを邪魔せずにそっと一緒にいられる。 僕は、君たちが感じていることが手に取るようにわかるよ。 顔でどんなに笑って平気そうにしていても、わかってる。感じてる。 なぜ、わかるのかって? 簡単さ。僕にも、その思いがあるからだよ。 だから、わかるんだ。 僕の中にある孤独が、君の孤独を見つけることができる。 僕の中にある寂しさが、君の寂しさを見つけることができる。 僕の中にあるすべてのものが、君とつながるリボンだよ。 だから、僕は自分の中にあるものすべてを宝物だと思っている。 実を言うと、僕は自分の人生があんまりいいものだとはずっと思えなかったんだ。 でも、ある日、そこに気づいた。 そしたら、自分の人生を初めて愛せたんだ。 僕は自分を抱きしめた。 壊れないようにそっとね。 いろんな人とつながるための宝物をたくさん持っているパンくず。 それが僕だよ。 僕は最高のパンくずさ。 ねえ、提案があるんだ。 君の中にある孤独や寂しさも、誰かとつながる大事な宝物だって思ってみないかい? そしたら、君は、もっと自分を幸せな人だって思えるはずだよ。 僕が保証する。 ああ、もう時間だ。 あの子と旅に出かけなくちゃ!じゃあね、失礼するよ!」 この話の登場人物たちは、各自それぞれが、それぞれを映し出している鏡のような存在。 Noilにとっては彼はガイドのような存在ですが、同時に彼にとってはNoilがガイドです。 旅が始まるためには、主人公がいなければスタートしません。 旅に出たいと思いながら、どうやって始めたらいいかわからずに不思議の国で待ちわびていたCrumbsinpocket。 そんな彼にとって、元気で意欲的な少女Noilこそが彼の旅をスタートさせてくれたガイド。 また、プライドの高いLoad PPは、Crumbsinpocketにとっては影の部分を映し出している鏡のような存在だなとも感じています。 まわりに自信たっぷりに振舞っているということは、そうしなくてはいけないくらい内側に脆いものを抱えているということ。 領主のキャラクターは、自分はやれるだろうか?パンくずの自分に達成できるだろうか?と、実は内心でそう思っているCrumbsinpocket影の部分 そしてもっと言えば、これら3つのキャラクターは私の中に全員いるんです。 つまり、、、この物語を通して、私は自分の中にある3つのキャラクターと出会っていたのです。 「役柄というのはコンテナーのようなもの。パーソナリティーというのは個人が抱える役柄の総称である。」ロバート(ランディ教授)は、彼のRole Theory & Role Method(役割理論&メソッド)の中でそう述べています。 私たちは沢山の役柄を抱えて生きている存在。 その時々に、自分で取りたい役をとりながら生きているだけ。 そして、私たちは役柄を通じて今の自分を生きている存在。 そして周りの人はすべて、自分の何かを反映して教えてくれているんですね。 「みんな同じ。みんな同じ。 瞳の色や髪の色が違っても。 生まれや国籍が違っても。 みんな悩んだり苦しんだりしながら、自分の人生に持ち込んでいる課題に奮闘していて、、、 みんな、その意味を知りたくて、何が真実の答えなのかしりたくて、自分の旅をしている存在で、、、 その答えは目の前の人から与えられているようでいて、実は自分の中にあった答えで、、、 だから、ちゃんと見つけることができるんだよね。 みんな同じ。みんな同じ。」 いろんなことがあった今学期でしたが、最後に自分なりの1つの答えを見つけたような気がしています。 「ああ、ここに辿りつきたくて今学期もがいてきたんだなぁ。きっと。」 すべてが終わったあと、そう感じました。 今日は久しぶりにテキストもノートも入ってないバッグを持って、雪の街へ! クリスマスのNYの街の空気を楽しんできました。 こんなに開放的な休日は久しぶり。 寒さもなんのその。地下鉄に乗らずとも、目星をつけて歩きながら目的地へ。 街を歩きまわりながら、この街が「私の街」になっていることに気がつきました。 こちらはロッフェラーセンターのクリスマスイルミネーション! 夜空に映えて、とってもきれいでしたよ。 いろんな色の光が、この国に住んでいる様々な国からきている人々のようだな〜と思いながら眺めていました。 さあ、すべてが終わって、ちょっとだけ一息ついたら荷造り。 これから帰国のための準備に入ります。 久しぶりに会う日本、わくわく&どきどき。 この続きは日本で書こうかな。
by Dorothy-Naomi
| 2016-12-19 02:57
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