さて、肝心のNYUのドラマセラピー学科の中間試験考査について。 今後、このブログを読んでNYUのドラマセラピーに興味を持つ人もいるかも(いたら嬉しいな)と思うので、ちょっと丁寧に書いてみようかな。 春学期の大物レポート、2本の内容ですが、、、 まず1つ目は、Cross Cultural Understanding(異文化理解)のクラスのレポート。 ここ数ヶ月、与えられたリストの中から自分が選んだポッドキャストを聞き続けるというのがこの授業の継続的な宿題の中の1つでした。 そのポッドキャストを軸として、以下のことを絡めて書きなさいというのがレポート内容です。(書式は全てAPAスタイル) ・どんな話題が中心として取り上げられ、何に惹かれたのか? ・それを聞きながらどんな疑問や質問が湧き上がってきたか? ・どんな驚きや発見があったか? ・聞き続けていく中で、どんな変化が自分にあったのか? ・この対象に働きかけ意識を変えていくには、どのような具体策があり得るのか? ・この対象に対して、ドラマセラピーを行う場合、何を主目的として、どんな内容でどのくらいのスパンで行うのか? ・それらを加味して、最後にドラマセラピーの具体案を3つ書くこと。 ・学術論文、ジャーナル、データなどの引用を6つ以上入れて書き上げること。 様々なポッドキャストのリストの中から、私が選んだのは。。。 「子育て」「親子関係」にスポットライトをあてている「The Longest Shortest Time 」という番組。 この番組には、様々な親子がゲストとして毎回登場し、司会のヒラリー・フランクと共に率直な会話を展開していきます。 たとえば、、、 ・異民族間の結婚問題、子育てに関する問題。 ー近隣の住民や他者の無理解。 ー民族結婚をすると白人は格下げになるという階級意識。 ・ゲイカップルやレズビアンカップルが結婚し、子供を迎え入れるまでの、様々な諸問題。 ー親とのコミュニケーション。養子事情。 ー子供にどうやって自分たちの結婚形式を説明すべきか? ー世間との軋轢といった事柄について。 ー子供に対する学校でのいじめ。 ・シングルの女性や男性の、養子問題。 ー結婚はしたくないけれど、子供が欲しいという女性たちの本音。 ー白人の自分と黒人の養子である我が子とのコミュニケーションを、どうとっていくべきか?。 ー養子になった子供側からの意見。 アメリカの「今の家族」「今の親子」の形がクッキリと浮かび上がり、とても興味深い内容でした。 私が特にレポートで焦点をあてたのは、異民族間の家族の持つ様々な問題と現実という部分。 わかりやすく言えば、白人と黒人、黒人とアジア人、白人とアジア人といった、夫婦の民族の出自が異なるカップルです。 アメリカって、一見すごく多そうに思いませんか?そういうカップル。 ゲストスピーカーの実話の中でもありましたが、実は同民族同士の結束意識が強いのがアメリカ。 これだけ多くの人種が溢れているアメリカですが、多く存在するということと、深く交流するということとは全く別物なんですよね。 同じクラスに10カ国以上の生徒たちがいたとしても、互いに深く交流しているかというと違うようです。 遊んだり出かけたりするのは同じルーツの友人だと答える生徒が多いというデータも実際にあるんです。 黒人と結婚した白人女性のエピソードも印象的でした。 地元の集まりに二人で出かけて、周りから好奇の目を浴びていたこと。 誰も何も言わず、笑顔で挨拶はするけれど、近寄ってくる人が誰もいなかったこと。 小さな男の子が意を決したようにやってきて、「なぜ白人なのに、黒人と結婚したの?」と聞いてきたこと。 「彼が素敵な人だったからよ。」とシンプルに答えたとのこと。 その子供が失礼なわけでもなく、その子の周りに私たちのような結婚をしている人が全然いないということが問題なんだと思う。ーそう彼女は言っていました。 NYという多くの移民が住む大都会でさえ、「同じ種は同じ種で集うのが当たり前」という風潮が人々の中に強くあるのを感じます。 1つ前のブログに書いたように、黒人ミュージカルの観客が黒人ばかり、、というのも、それをよく表しているなぁと感じるのです。 すると、その枠組みから外れた人々へ、どんな意識が向けられるかというと、、、 目に見えない差別意識、同民族からの奇異な目、仲間はずれ、よそ者扱い、学校での子供に対する扱いの差異、、、 いろんなエピソードを聞きながら、感じていたのは、、、 違う者同士の本音を話し合える場、理解するための交流の場がない現実(意外ですが、そうなんです。)。 では、何が原因でそういった現象がずっと起こっているのか? さらに、それを改善するためには自分では何をすべきだろうか? そういった部分を考察し、自分の意見を述べ、それを元にドラマセラピーの具体案を作成。 小学校、中学校、公共施設といった場所をセッティングして、大人向け、子供向け、思春期の子供向けの案を仕上げました。 2つ目は、Clinical Populations(精神医療患者に向けてのドラマセラピー)という授業のレポート。 この授業はとてもユニークで、私たちはセラピストと患者と2つの役柄を与えられます。 患者としての自分は、ナオミではなく芝居の主人公として。(その役柄設定で演じながら、ドラマセラピーを受けます。) セラピストとしての自分は、クラスメイトの演じる芝居の主人公をクライアントとして迎えてドラマセラピーを行っていきます。 自分がセラピストの時と、患者役(芝居の主人公)役柄を演じている時と2通りあるわけですが、その両方の目線&体験から得られるものが、とても大きいんです。 クライアントとして、セラピストとして、毎回その都度ジャーナルを書いて提出。 私が演じた患者は、ミスマルガリータという一人芝居の主人公。 超エキセントリックで、独断的で、権力的で、挑戦的で、かつ官能的な女性教師。 私の患者はThe little foxes(邦題・偽りの花園)の殺人疑惑のある50代の未亡人レジーナ(クラスメイトが演じている役柄。) レポートは以下の内容を全て盛り込み、自分の考察を含めて仕上げなさいというもの ・患者の現状に起きている問題 ・DSM−5をベースにし、患者の診断病名を記すこと。なぜその診断になるのかという考察と論拠を含めて。 ・生まれながらの性質なのか、育ちによって引き出されているものなのか。なぜ、そう結論づけられるのかという考察と論拠を含めて。 ・さらに、この患者を対象にしたドラマセラピー案を5つ展開すること。 ・なぜ、そのドラマセラピーの理論と手法を使ったのか、その目的と論拠。 ・そのドラマセラピーによって期待される効果と効能。どうやって、クライアントの進度を見極めていくのか?どのように、クライアントをサポートしていくべきか? その論拠も含めて。 ・学術論文、ジャーナル、データなどの引用を必ず入れて書くこと。 考えに考えた末に、私がレジーナにつけた診断名は反社会性人格障害というものでしたが、、、 生まれや育ち、階級、世代的な影響、土地柄の影響、全てを吟味しながら考察を書いていくことも、医学書と取り組みながら書いていくことも初体験で、手探りしながら必死に書いていきました。 レポートを出した日のこと。 授業の終わる直前、サラ(教授)が、こう叫びました。 「みんな大きな円になって!」 そして「これから、今まで3ヶ月のあいだ自分が演じてきた役柄と、さらに今までセラピーを行ってきた役柄とのお別れの儀式を行います!」と宣言。 一人一人、自分が演じてきた役柄に対しての言葉がけをし、また自分のクライアントとして付き合ってきた役柄への言葉がけをし、円の中に様々な思いとともに入れていきました。 そして、自分自身に戻るための魔法の呪文をサラに一人一人かけてもらい、、、 イマジネーションで作り上げた大きな薪の炎とともに、全ての思いを空へ、、、 気がつけば何人か泣いているクラスメイトもおり、、、 私も、この3ヶ月、どっぷりと付き合ってきたミスマルガリータと、レジーナに、私を成長させる機会を与えてくれてありがとう!と叫びながら、空に向かって思い切り手を振りながらお別れしました。 サラの授業では先週からは、Art & Humanities Research Council( AHRC)という団体に所属する精神疾患を持つ大学生たち5名を迎え入れてのドラマセラピーワークがスタートしました。 私たちNYUの生徒は4人一組となってAHRCのメンバー1人につきます。 AHRCのメンバーは「スーパーヒーローの指令部の司令官」。 私たちは、「その部下」という設定です。 秘密の呪文を唱えて、全員一斉にマジカルゾーンに入り込むと、そこにはイマジネーションで作り上げた5箇所の秘密基地が! 私たちの司令官&ディレクターは、とても興奮しやすい性質の社交的な大学生のAくん。 ロバート・ランディ教授のロール(役割理論を応用した、ロール分類カードを使いながらAくんのスーパーヒーロー像や悪役、ガイド存在などを探っていきます。 その後、カードに出てきた役を全て絡めた話を司令官のAくんに作ってもらいます。 とても面白いことに、司令官の話は空想の話のようでいて、彼自身の内面にあるもの全ての投影なんですね。 話を聞いている中で、彼の人柄や、信条や、葛藤や願望といったものが浮き彫りになっていきます。 さらに面白いことに、この話の中に私たちの一部が映し出されていたりするんです。 その後、部下の4人みんなで話に出てくる登場人物たちのイメージをスカルプティング(体で彫刻のように静止して表現する手法) さらに、ストーリーのダイジェスト版をディレクターの指示によって作り上げ、「映画(来週のお披露目のパフォーマンス)の予告編」と題してお披露目。 来週のパフォーマンスで、いったい彼や私たちの中に何が起こるのかドキドキしている最中です。 目まぐるしく動いていく毎日だけれど、、、 大事なことは、ちゃんとわかっている自分でいたいな。 そして、これこれ! Stay peace★
by Dorothy-Naomi
| 2017-04-16 13:33
| *Drama Therapy
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