昨年末の話です。 大きな2つの再会がありました。 1つ目は「ドロシー」との再会。 ドロシーとの再会は、期末の課題パフォーマンスがきっかけでした。 セラピューティックシアターの期末課題の1つは、3人1組になっての「自己開示劇」のパフォーマンス。 今の自分にとって一番クローズアップされているものを、自分の個人的な体験や自分史と絡めながらパフォーマンスしなさいというもの。 しかも、グループ3人のテーマもしくは繋がりも考慮に入れながら、1つの流れのあるパフォーマンスとして仕上げなさいという指示でした。 「頭で考えないこと。浮かび上がってくるものに従いなさい。これから材料を伝えます。」 そう告げられた後、ニシャ(教授)から与えられた材料は以下の3つ。 ー自分が行ったことのない場所で、行きたいと思っている場所は? ー自分にとって、これがないと困る!という生地や洋服や身につけるものは? ー自分のお葬式に流したい曲は? この3つの中から浮かび上がってくるものに潜む「今の自分にとってクローズアップされているもの」を探りなさいというわけです。 途方にくれていると、不意に流れてきたメロディーは「オズの魔法使い」の主題歌Over the rainbowと、「WIZ 」の最後にドロシーが歌うHomeという曲でした。 次に浮かんだのは、幼児の頃に母が私に編んでくれた黄色い毛糸のマフラーと、虹の向こう側の国という言葉。 この3つが自分から飛び出てきた時 かなりドキンとしました。 「なんで、このタイミングで再び?」 オズ、WIZのお話は、私にとって少し特別なもの。 人生の節目に何回となく出会ってきた、大事なキーワードの入っているシークレットボックス。 ドロシーを人生の中で何回か演じる体験があったり、夢の中に自分の中に潜むドロシーが登場したり、、、 その度に人生の歯車がゴットンと動いてきたなと感じています。 ーああ、そうだ。NYCに来て暫くの間は、私はまるでトルネードに巻かれて飛んできたドロシーみたいだったっけ。 ーどっぷり日本人でもなく、どっぷりNY人でもなく、どこに自分のアイデンティティや居場所があるのか、必死に探していたんだった。 そこまで思い返したとき、次に浮かんできたのはインターンシップ先のクライアントさんたちの顔でした。 ・アメリカに住んではいるけれど、自分の心はいつもプエルトリコの青空の下だと、スペイン語混じりの片言の英語とジェスチャーで伝えてくるJさん ・「ウェイトレスさんになって働きたいです!お皿を洗えるよ、私。」保護施設を出て、レストランに職を見つけ自立している自分を夢見て15年になるNさん ・「ナオミ、今月はね、すごい大きなトラベルをしたんだ。初めてロックフェラーセンターのクリスマスツリーを見たんだよ。うん、スタッフに連れて行ってもらったんだ。すごく怖かったけれど、電車もバスも乗ることができたよ。きれいだった。」 47年の人生で、初めてブルックリンの自宅からマンハッタンまで行ってNY 名物の大きなクリスマスツリーを見たTさん。 ・「お友達がたくさん欲しいです。今月は毎日3人の人と5分は話すのが目標です。」そう自分のノートに書き続けて40年近くになるLさん。 みんな、一人一人「自分が楽に生きられる所はどこなんだろう? どうしたら自分が心から安らげる場所にたどり着けるんだろう?」とHOME(居場所)を探しているドロシーたちなんだ。 だから私はこんなにも、この人たちに惹かれていて、、 抱きしめたいくらい愛おしいんだ。 ここまで気付いたとき、全てが自分の中で繋がった気がして、そのまま一気にシナリオのプロットを書き上げました。 3人のグループで一緒になったメンバーの1人、レバノンからの留学生であるリンの作った作品は、NYU留学直前に亡くした自分の父親の死と、救急病院でのインターンシップで出会った少女との会話を軸にしたもの。 もう1人のメンバーであるハンナは、海の底に沈むタイタニック号の中に迷い込んだ自分が、タイタニックと対話する作品。 3人で話し合い、私たちのグループテーマは「Empty space 」(空っぽの場所=自分の中にある失われた部分、欠けている部分)ということに決定。 互いにディレクターや演出家の役目をしあいながら細かい部分を吟味し、2週間ほどかけて3人のパフォーマンスの流れを作り上げていきました。 パフォーマンス当日。 私のパフォーマンスのタイトルは「HOME- the way to your home」。 登場人物は3人のドロシーたちです。 ・第一幕は「オズの魔法使い」に出てくるファンタジーのドロシー 彼女はトルネードに巻かれて着地した、見ず知らずの場所に怯え、動き出すことができません。 自分の家への戻り方を教えてくれるのはオズだと聞いたドロシーは、恐る恐る黄色いレンガの道を歩き出します。 ・第二幕はJewish Boardに通い続けて20年以上になる55歳のドロシー 彼女は、いつかレストランで働きながら一人暮らしする自分を夢見ながら、毎日、人とうまく話ができるようにと祈りながら、毎日プログラムに通ってきているアフリカンアメリカンの女性。 でも、ここにいても落ち着かないの、居場所がないのとつぶやきます。 Where is my home? Where is the place that I belong to? ドラマセラピストに「どこにあると思っている?」と聞かれて「虹の向こう側」と答えますが、虹の向こう側に行けるかどうか自信がないと答えます。 ・第三幕は ドラマセラピストのドロシーのモノローグ マイノリティの1人としてアメリカで生きているドラマセラピストのドロシーは、自分の中にある痛みと同様のものをクライアントの中に見つけます。 そして、こう語ります。 「わかるよ、ずっとあなたの心が求めてきたもの。 わかるよ、辛かった気持ち。悔しかった気持ち。 なぜなら、ずっと私も同じだったから。 同じ思いを抱えていたから。 私も虹の向こう側を探していたから。 Where is my home? Where is the place that I belong to? でもね、気づいたことがあるの。 それは何かというと、、、 虹は本当は自分の中にあるんだなってこと。 自分のホームは自分の中にちゃんとあるんだよね。 自分が自分を迎え入れようとしていなかっただけ。 だから、自分がWelcomeって自分に言ってみたの。 そしたらね、びっくりするくらいに気持ちよかったの。 そして、どこよりも安らげる場所だなぁって感じたの。 だからね、虹を外側に見つけないで、自分に内側にあるんだって思ってみない? その虹のそばに、ちゃんと、あなたのホームはあるよ。 あなたのハートに。 そして、その虹の片方の端は、もしかしたら私につながっているかもしれないね。」 終わった瞬間、ふっと自分の中にあった全てが解放され、、、 3人のドロシーたちが、すーっと自分の中に一体になって統合されていくのを感じて、泣きたいような、笑いたいような、転げ回りたいような、、、 とても不思議な気持ちに包まれました。 ぼーっとしたまま舞台を去り、次のパフォーマンスを演じるハンナのために照明&音楽の補助へ。 さらに、最後のリンのパフォーマンスのアシスタントを終えて、3人で最後の挨拶に立つと、、、 静まり返った室内から、さざ波のように拍手が起こり、わーっとした声が響いてきて、、、 気がつくと私はクラスメイトたちのハグと拍手の渦の中にいました。 このパフォーマンスのあと、10日ほど自分の中で何が進行していったのかをリフレクションする時間が与えられ、自分が実際に体験したセラピューティックシアター&自己開示劇を、役者として、ドラマセラピストとして、スタッフとして、観客としての立場で考察したレポート15枚を提出し、私の最後の課題は終了。 その後、二シャからもらったコメントと評価には、思わず胸があつくなりました。 自分の中で、どんなきっかけで、何がどう動いて、どんなプロセスで何に気付かされ、癒されていったのか? 自分の内側の変化を起こしていくドラマセラピーの力、セラピューティックシアターの力を、ドロシーとの再会を通して確認したんだな。 私は今、そう思っています。 2つ目はゲリーとの再会です。 12月の半ば、ちょうどコロンビア大学に短期留学中のYukieさんに誘われてゲリーに会いにアッシュビルに行ってきました。 Yukieさんはゲリーのスクール(現ノウイング)でインストラクターや通訳をされている方で、私も本科にいた時代は本当にお世話になりました。 彼女に誘われなければ、ゲリーに会いに行こうなんて、きっと考えもしなかったろうな〜と思います。 ちょうど期末テストが終わった直後で、インターンシップ先からも休みのOKが出たのも偶然ではないんだろうな。とにかく、あっという間に決まりました。 ゲリーに会うのは6年ぶりのこと。 とても久しぶりのような気もするし、そんなに時間が経ったとは全く感じられない気もするし、、、 この間に次から次へと起こっっていった人生の様々出来事を思い返しながら、飛行機の外に広がる空を眺めていました。 アッシュビルでの時間は、私にとってはリトリートタイム。 朝の湖畔を散歩したり、 スモーキーマウンテン山脈を望む、山の上のロッジで深呼吸も気持ちよかったなぁ。 アッシュビルの街を、ランチをかねてブラリと散策。 ふっと、はるか昔に私がここで生きていた過去生や、ここにいる皆とのつながりが思い浮かびました。 そうそう、忘れてはいけないのは早朝のコーヒータイム。 ゲリーが「誕生日のプレゼントにもらったんだ」と、ご自慢のエスプレッソマシーンで淹れてくれたコーヒーは、う〜ん!本当に美味! それを飲み、窓の景色を眺めながら、しばしおしゃべり。 寝起きのぼんやりとした頭を少しずつ起こしていきながら、何気ない会話をしていただけだけれど、、、 この時間は、すごく豊かで、あったかい、素敵な朝の時間でした。 音楽を聴きながらおしゃべりしたり、、、 ゲリーの愛犬マックス&ハイディーと遊んだり、、、 特に決まったスケジュールもなく、ゆっくり&のんびりと、、、 この2泊3日は、窓から湖の見えるサンルームで、ソファーにどっかりと座り込み、とにかく沢山話しました。 私が今やっているドラマセラピーの話も、Yukieさんが学ばれているナラティブメディスンの話も、アートとセラピーの関係性の話も、いろんな話題が出ましたよ。 でも、普通に交わされている会話の中で出てくる言葉や表現が、時折ハッとするくらい深いもので、、、 なんというか、課外授業・番外編を受けているような感じといったらいいのかな。 でも、今の私は、それを「ちゃんと受け取らなくちゃ」なんてしなくなってるなぁ。 自分に必要なものは、自然とハートがキャッチしてくれているはずだもの。 自分がキャッチしたものが、なんなのか、どう発芽していくのかは今後の自分に自然に出てくるはずだものね。 とても豊かな時間を与えてくれたゲリー、リンダ、Yukieさん、そしてマックス&ハイディーに心から感謝★ 12月の再会2つは、2017年までに起こったことを別の目線で見つめてみる機会を与えてくれたんだな〜と感じています。 さあ、確認とリフレクションが終わったら、、、? 次は始動でしょ、やっぱり。 今年深めていきたいことを積み込んで、今年の海にボートを出すぞ。 でもね、流れは海に任せていこうかな。 Let's go with the flow!! →【フェリシア* FELICIA Tokyo & New York】 あなたが生まれてきた喜びを感じて生きていくために アカシックリーディング&イシリス33メソッド
by Dorothy-Naomi
| 2018-01-23 16:21
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